電気をつけると誰もいない。
 キッチンにはお手伝いの大野がナスと豚肉の味噌炒めをタッパーに入れて置いててくれた。
 結花と悠真の分だ。しかし結花は外で食べてきたので、悠真一人だけ食べる形になる。
「あー疲れた」
 結花はだらしなくソファーに座る。
 嫌いな身内の病院の付添いだけで疲れる。
 やっぱり姑という存在は私にとって害だわ。誰か追い払ってくれないかしら。というか義理の家族の存在がそもそも邪魔。
 私の世界を侵食してくる邪魔者。
 私たちは私達なの。口出しなんて絶対許さない。
 私は絶対義理の家族に対して協力するつもりない。でも利用するだけする。
 私は義理の家族は嫌いだけど、なんだかんだ言って向こうは私のことをかわいがってくれる。
 時々食材とともにお小遣いをくれる。
 でもその食材はすぐに捨てるか、お手伝いさん達にあげている。食べるものないでしょと憐れむように。
 お手伝いさんを見下すのは序の口だ。
 どうせ呉松家のお手伝いだからそんなにお金はないのだろう。人の下のつくのだから、たいしたお金もないし、所詮は貧乏人だと思っている。
 私が気に入らないものは全てイヤゲモノなの。
 だまってお金だけ渡せばいいの。
 義理家族も夫も私にとってはATMのようなものだ。
 私に尽くして当然な存在。