世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

「自分が可愛いからと男性のみんなが依田さんの言うことを何でも聞いてもらえると思ってんだろ? でも、内心は分からない。そんなのいつまでも通用すると思ってるのがおこがましい」
 尾澤はあごを引いて見下す。
「いいか? キミは世間では《《オバさん》》だ。いつまでもうら若き乙女とかお姫様で、周りは召使いとか下僕だと思ってるんだろ。わがままが通用するとおもってるんだろ。現実をみたらどう? 崩れた化粧、不自然なつけま、ここで働くのにふさわしくないネイル。しかも長すぎる。料理どころか家事やってないだろ?」
 長時間メイクをした影響なのか、肌はかさかさ、ファンデーションは崩れてきている。
 結花のネイルは赤とヒョウ柄だったが、ネイルプレートの部分は半分ぐらい剥がれていた。
 それに会社の制服というアンバランスな組み合わせだ。
「キミはもうお姫様でもお嬢様でも社長夫人でもない。ここではただのスタッフの一人のオバさんだ――見た目だけの中身薄っぺらい。ね、《《結花姫》》」 
「オバさんうるさいわね! あんたもでしょ!」
 今日はなんなの! みんなオバさんオバさんって。 
 私は世界一可愛いゆいちゃんなの! オバさんじゃない!