世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

 結花は「それどういう意味? 私が動いてないみたいな言い方ね」と挑発するような口調になる。
「そ、それは……」
 望海は結花の《《地雷》》を踏んだと顔が青ざめる。
 この人は自分に同意するような内容で答えないと、きつい口調になる。最悪ヒステリックになる。
「ごめん、ゆいちゃん。そういうつもりで言ったんじゃないんだ。ほら、私の抹茶ケーキ少しあげるから」
 必死になだめようとする望海に対して、結花は仏頂面になる。
 昔からそうだ。
 いつも機嫌を損ねた結花の宥め役は決まって望海だった。男子たちがすることもあるが、同性で宥められるのは彼女だけだった。
 2人は幼稚園から大学まで一緒だった。
 親同士が仲が良く、家族ぐるみで付き合っていた。
 進路も結花のためにわざわざ変えたぐらいだ。
 正確に言うと、結花の母周子が「結花ちゃんは同性の友達がのんちゃんしかいないから、娘のために、一緒の大学に通ってほしい」と頭を下げてきた。
 親同士が仲がいいというか、周子と望海の母知沙(ちさ)はいとこ同士で同い年。
 呉松家の本家の跡継ぎは周子側。
 周子は磯崎家を格下のように扱い、結花に同性の友達がいないから、いとこの望海を友人関係になるように命じている。