結花は思い出したのか「そうなんだね」と素直に返した。
 福島は一瞬面食らった。
 さっきまで態度反発的だったのに。何があったか知らないが。なんなんだろうか。
 店長曰く、相川を狙ってる可能性が高いから、彼とほかの女性スタッフの態度に気をつけろと言っていた。
 確かにそのそぶりはある。
 質問が彼の勤務時間と業務に関係ない内容だ。
 午前中も店長にプライベートなことを質問して大目玉を食らったらしいが、これは思った以上に面倒なやつだ。
「じゃぁ、皆さんの様子見ていきましょう。必ずメモするように。後でマニュアルお渡しします」
「はい、分かりました。――今作ってるのは?」
 相川と塩浦がせっせと袋から取り出している。
「あぁ、これは……さつまいもの袋を詰めてるんですよ。今の時期旬ですからね。ここは果物や野菜の袋詰めや、品だし、19時過ぎたら、値引きシールを貼るんです」
「はぁ……そういう仕事があるんだね……」
 結花は野菜は実家や知り合いから無農薬を送ってくれるので、スーパーで買う機会が少ない。
 とはいえ、料理するのは娘の陽鞠か夫の悠真か実家のお手伝いさん達だったが。