野崎は結花の家族環境を聞いて、お手伝いさんとか別次元すぎると顔を顰める。そりゃ仲悪くなるのは当たり前だなと同情した。てか、姉の彼氏寝とるとか怖すぎる。
「聞く限りではなかなか厄介な方ですね……本当に甘やかされて生きてきたんでしょうね。うちの会社、未成年含む男性高校生スタッフ結構いますからね……これ、男性のお客様もありそうですね……」
 難しい顔をしながらうなる野崎は「バックヤードにいた方がいいかもしれませんね」と話す。
「そのつもりだよ。極力人と会わせない。出来れば女性の多いとこで、オバチャンが中心。男性と2人っきりにはさせない」
「じゃぁ惣菜部門か野菜の袋詰めの農産スタッフですね。とはいえ、男子高校生のスタッフが数人いるね。甘やかさないように言っておこう」
「一応、彼女の希望聞いてて。形だけでも」
「分かりました」
「絶対甘やかすような真似をしないでね」
 念押しされた野崎は分かりましたと返事をした。
 着替えてきた結花が戻ってきた。
「はるちゃーん、似合ってる?」
 通販で買ってきたネズミ色のスウェットに着替えた結花はファッションショーを始める。
「では、ここで失礼します」
 陽貴は用が終わったので辞去する。
「えー、はるちゃーん、つめたーい! ね、野崎ちゃん、嫌だー!」