「――かっちゃん、ごめんな。こんな身内を入れてしまって……」
「……まさかこんな強烈な人来るとは思いませんでしたよ。あの人が社長の奥さん? お嬢様育ちと聞いてましたが、中々個性的な方ですね。確かに可愛らしくて、若い感じですね。男性陣がちょっかいかけるのも時間の問題ですな」
 野崎の精一杯の褒め言葉に陽貴は申し訳なく思う。
「……そうなんだよ。弟の嫁さんなんだけど、歳も離れててな。彼女、子供の頃からチヤホヤされてたのが抜け切れてなかったんだよ。弟も可愛いと甘やかしてしまったとこがあるからなー。今まで専業主婦なのに家の事全くやってなくって、挙句にマッチングアプリで《《若いツバメ》》騙してたとさ。姪の学校生活に影響出てるし、弟も倒れてしまったからな……どの道代わりに働かないといけない状況になったんだよ」
「社長は大丈夫なんですか?」
「まあ……なんとか。弟が遅くまで働く理由がなんとなく分かる気がする」
 事情を聞いた野崎の顔が引き攣る。
 うわぁ、ほんとキャラ濃すぎる。大丈夫か、俺。