「あれ? はるちゃん? あのね、たすけてー! カード夫に止められったっぽいの! 夫連れ戻して! そうじゃないとゆいちゃん生活できなーいっ」
 義兄の陽貴にここぞとばかりにねっとりとした口調で、夫を家に連れ戻すようにお願いする。
『――今からそちらに向かいますので、お待ちください』
 陽貴は結花のテンションに流されることなく、要件だけ伝えた。
 やった! 義兄がくる!
 ぶっちゃけ顔は義兄がドストライクだ。ただ私にちょっと冷たい。またそれがいいんだけど。
 義弟はカワイイ系。子犬のような顔してるから、多分女の子にモテただろうなと思う。でも奥さんいるんだよねぇ。絶対クラスの隅っこにいて落書きやってそうなタイプの人。
 私の方が絶対カワイイに決まってる。
 夫は優しいし言うこと聞いてくれる。でも面白みがないからつまらない。
 なんというか、勢いというのがないんだよね。
 のんびりしてるというか、覇気がないというか。
 昔みたいにぐいぐい来ないから面白くない。
「頑張ってお茶出してみるか」
 いや、ここは義兄が来た時に一緒に手伝ってもらおうかな。ゆいちゃん場所がわからなーいとかやり方知らなーいとか甘えて。うん、そうしよう。
 陽貴が来るまでのんびり寛いでいるとインターホンが鳴った。