仕事が終わって、家に着くと、前で男性2人組に声をかけられた。
「日下部龍太郎《くさかべりゅうたろう》さんですか?」
 龍太郎は「はい」と状況がつかめず、ぎこちない返事をする。
「少しお話したいことがあるんです。あなたが今付き合ってるゆいちゃんについて」
 何でこの2人は自分の付き合ってる人のことを知ってるのだろうかと首を傾げる。
「あ、あの、あなた達は……」
「失礼しました。私、依田陽貴《よだはるき》と申します。”ゆいちゃん”の《《義理の兄》》です」
「私は”ゆいちゃん”の《《夫》》、依田悠真と申します。日下部龍太郎さん」
 男性2人から名刺をもらった……まって、今《《義理の兄》》と《《夫》》って言ってたよな?!
 どういうことだ?! まって、思考が追いつかない。
「少しお話聞きたいんですが、お邪魔してもよろしいでしょうか」
 穏やかな口調でお願いされたので、龍太郎はどうぞと、2人に中に入るよう促す。
 マンションで男性3人がリビングに集まってとなると、狭くなる。
 小さい丸テーブルに固まって正座をしていただくようにした。
「改めまして、私、依田悠真(ゆうま)と申します。ゆいちやんこと、結花の夫です」
「私は悠真の兄――結花さんからすると義理の兄にですね」