依田陽貴は自宅のダイニングテーブルで険しい顔をしていた。
 向かいには短い髪で、少し茶髪が入ってて、細身の女性。一重だが鼻筋は通っていて、柔和な印象を引き出す。
 黒のセーターに水色のパンツスタイルの女性。
「わざわざお忙しい中、ご足労をおかけ致しました」
 陽貴は座りながら軽く頭を下げた。
「ええ、こちらこそ」
 女性は深いため息をつきながら呟いた。
 正論を言われた女性はそうですねと、肩を落とす。
「あなたは彼女の親友でもあり、従姉妹でもあり、昔のことを知っていること、また、同性の友だちがあなたぐらいしかいないというのを聞いたので……今回私たち家族の揉め事に巻き込む形にさせて申し訳ございません」
「……私は彼女に対して長年思う所がありました。何度も忠告しましたが、まぁ、ご存知の通り、あんな感じなので」
 女性は悟ったような言い草だった。
「そうなんですか? 昔っから?」