やがておよそ月5人から7人のコンスタントベースは、実に1年以上続くことになる…。
で…、少なくともノゾミのチェックする限りで、2回目デリというのは皆無であった。
つまり、あの世に逝ったギブ様のユーザー巡礼は、おひとり様一回という暗黙の算定が成立したと!

こうなると、コアな常連さんとなれば、”果たして自分の順番はいつよ!”もしくは、”私、巡礼リスト外?”といった、なんともな焦燥感に襲われるわけで…。

トーゼン、ノゾミもご多分に漏れずであった。
とはいっても、”ギブソンタケルの部屋”的には、自分などコアな常連さんには程遠いし、そもそも新参者の部屋経験一回きりの…、おそらくギブ様からしたら、あの24時間もさしたる印象にも残らず、きっとあの世へ持っていった記憶の中に私などはいってないよ、きっと…と、かなり悲観的で諦めモードにとどまっていたのだ。

彼女はそんな自分などに、ギブ様があの世から降臨なんてムリだと決めつけることで、意識して…、正直、無理押し気味に現実へ自分をはめ込む努力を強いた。
そして先月…、ひょんなきっかけで取引先の担当者とランチする機会を得て、次は二人きり居酒屋へ…、そこでどこかヤケクソ気味もあってホテルイン…。

その際、エッチ自体はまあまあだったが、肝心のココロが潤わない。
もっとも、お相手のヒサノリ29歳は、ベッドの中ではエッチ前も最中もその後も、けっこう優しいし気遣いも心得ていて、タイプ的にもNGではなかったのだが…。

所詮、ないものねだりはわかり切っているのだが…、彼女の求めてる肝心な部分は埋めてくれない…。
こうなると…、彼女は自然とこうなる!

”やっぱ、ダメ!半端なオトコじゃ、私のカラカラ砂漠に恵みの雨は無理!あ~、1回でいいよー、ギブ様と蕩けるようなエッチがしたいよ~~💖”

そんなモードの水元ノゾミは、程なくして更なる”発見”を得る。

≪どうやら、トリップできる波動がゲットできれば、それに乗ってギブ様をデリできるみたい~💖≫

≪そういえば私、ギブ様が現れてくれるちょっと前、大腸の手術で結構昏睡状態だったんだよね。その時は間違いなく爆トリップ感はあった。その直後だったから…。そこに回路が構築できたのかもいって感覚はある…≫

≪私はそこまで大そうな事ではなかったけど、やっぱギブ様訪れてくれたちょっと前、生まれて初めて貧血起こして意識飛んだんだよね。そこの間、どこか飛んでって感はある!≫

こういったデリ体験者の共通項を、ノゾミは冷静に分析した。
結果、彼女は具体的なアクションを思いつく。

”やってみよう!トリップ感を体感できれば、あの世の…、いや、もしかしたらまだこの世で浮遊しているかもしれないギブ様の魂が電子レベルの回路に乗って、生前は会ったのたった一回ではあったけど、彼が巡礼してくれるかもしれない!とにかくダメ元よ!”

という訳で、ココロカラカラ砂漠なノゾミ25歳は意を決し、車で30分のアミューズメントスポットにかっ飛んでいった…。