ギブソンタケル…、彼はもうこの世にいない。
およそ1年半前から。

で、生前のギブソンタケル…、それはもう、大半の人は全く知らない享年35歳の元ジャズピアニストだった。
正確にはプロではなく、ジャズ喫茶とかお呼ばれイベントの演奏を生業としていたが…、そのメインワークは某カクテルラウンジの雇われシェーカーであった。

このラウンジでは、単にお好みのカクテルをオーダーして生ゴクするだけでなく、これまたマイオンリーのオーダーでピアノ演奏をただ弾きしてくれると…!
ちなみに、彼はギターも嗜み、リクエストがあれば、ギター演奏でフォークやアイドルソング、はたまたアニソンの合唱伴奏までも全然オッケーだった…。

さらに、さらに…!
ギブソンタケルの”体調”が良ければ、ツボ押しマッサージも何とただで、試供できちゃうと!
加えて、閉店まで客でいてくれた常連メンツには、ギブソンタケルの"牧師タイム"をこれもただで、午前2時までおひとり様独占でお悩み相談をやっちゃうって、すげーサービスてんこ盛り出会った訳で…。

そんなギブソンタケルは、この店を約3年在籍したのち辞める。
理由は体調不良…、というか、深刻な病気のためであった。
その病で、要は1年半前にこの世を逝去したのであるが、その間の2年弱…、そんなラウンジで実践したライフワークを、神奈川県藤沢の海の見える自宅(但し、賃貸の一戸建て)で営んでいたと…。