そのあと…、水元ノゾミは文字通りわが手で”ゲット”し得たギブソンタケル巡礼の証…、ただ一本の髪の毛をティッシュに包み、アイシャドーコンパクトの中へ納めると、女子トイレの個室から出て、駐車場に止めてあるクルマの中に入った。

既に足取りは”回復していた”が、彼女は運転席のシートを下げて、しばらく体を休めることにした。

”ふう~~”

ノゾミは大きく深呼吸をして、あらためて、あの女子トイレにデリしてくれたギブソンタケルとの”ひと時”をなぞるように脳裡へフラッシュバックさせていた。
その間の彼との会話…、魂というか無意識な波動どうしの行き来…❓
だが…、それは文句なく、故人であるカレと濃密な”交わり”を持てた場であった。

「ギブ様、私のこと、覚えてくれてたんだね?嬉しい…」

『オレも嬉しいよ。実体のない自分を迎え入れてくれるインフラをこしらえてくれて…。気分、大丈夫かい❓』

ギブソンタケルはまずは優しく…、蕩けそうな肌感でノゾミの背中をさすってくれてた。

「ありがとう…。あなたを…、私にデリしてくれたギブ様を目にして気分はすきっとした。ああ…、アナタと私、くっついてるのね。アナタの吐息…、感じる❣」

ギブソンタケルは立ち上がって自分の胸元の飛び込んできたノゾミを優しくエスコートするように、彼女のカラダを1回転させると、後ろから両の手を肩に乗せ、唇をノゾミの首筋に触れてくれてる。

「私、こうされるの好きなの。それ、知っててくれてたのね、ギブ様は…」

『心の中が覗けるんだ、今は』

ギブ様はそう言うと、右手をノゾミのけっしてふくよかとは言えない胸に添えた。

「ああっ…。私の胸、アナタの手で覆われてる…」

トリップの中にあったノゾミは、さらにそこでも夢心地であった。