どうしよう。動揺しすぎて逃げてきてしまった。こんなことがしたかったわけではないのに。


でも・・・、優利もこんなこと急に聞かないでほしい。誰だって動揺ぐらいするに決まってるじゃないか。


俺は、トレードはしたくない。最初パートナーだと知った時は驚いたし、正直どうしようって思った。だけど、トレードしたかったわけではない。だって・・・、俺は小さい時から優利のことが好きだから。だけど優利のあの様子を見るに多分、トレードしたかったんだと、誤解している。どうしよう。このままだとこれまでの関係が自然消滅するかもしれない・・・・。せっかく築き上げてきた関係が・・・。


俺は優利が好きだ。いつからかなんてわからない。結構小さい時から好きだったと思う。隣にいると、安心する。でも、優利がそうじゃないことは知っている。だから押し付けは良くないと思って抑えてきた。なのに・・・、自然消滅となったら今までの努力が水の泡になってしまう。


早いうちに誤解を解かないと。


「はぁ・・・、苦手んなんだよな・・、ああいうの・・・」


あまりに悩みすぎて口に出てしまった。そう、あいにく俺は自分の気持ちを伝えるとか、仲直りとか系がものすごく苦手だ。どうしよう・・・。


苦手なことだけれど、やらないといけない。でも、できるだけいつも通りの方がやりやすいから、俺からそういう雰囲気を出していった方がいいだろう。それに、優利は今、簡単に俺に話しかけられる状況ではないだろう。だって、優利は俺に拒絶されたと思っている。優利の性格からして、絶対少しの間は避けられる。


1週間以上もの間俺が考え抜いて絞り出したのは、『勉強するふりして誤解を解こう』作戦だ。勉強なら俺っぽくて自然だし、ぴったりだと思う。


よし、明日の夜、この作戦を実行しよう。