長すぎる授業が 終わり、待ちに待った昼休み。お腹ぺこぺこ。愛奈をさそい、お弁当を食べる。

ふと左を見ると、純が視界の端に少しうつる。その光景におどろいて私は2度、いや3度見をした。純が、女の子たちに囲まれて
いた。おどろいたのもあったけれど、なんだか嫌で、じっと見てしまう。純は薄いけれど純の中では最上級な迷惑そうな顔をした。きっと周りの子たちは気がついていない。そのあと、遠くて会話は聞こえないけれど、純は女の子からお弁当を分けてもらっている。・・・周りの子たちは、純のことが好きなのかな・・・。そういえば今日お弁当持ってきてなかった、はず・・・、なような気がする、見ていないけれど。

でも、純だって、お弁当がなかったからって女の子から分けてもらう必要はないじゃん・・・!純にまで八つ当たりしてしまう私はどうかしてる。

もやもやする・・・。なぜだかわからないけれどすごく嫌だ。この気持ちは、昨日の夜からあった。もう無視はできない。 ・・けれど。何を考えて、何をしたらいいのかわからない。だってこんな感情初めてだし、これがなにだかわからない。

「・・い、おーい、優利ぃ、何ぼーっとしてるの。お弁当全然食べてないじゃん、どうしたの?」

そう言われてやっと気がつく。何なら、気がつく前にも何度か呼びかけてくれたのかもしれないけれど。私の手は卵焼きをつかんだ箸を持ち、空中で止まっている。

「ご、ごめん、ちょっと考え事」

そう言う間もちらちら左を見てしまう。何かわからないけど、多分だいぶ重症。照れ隠しに慌てて卵焼きを口に突っ込む。

愛奈は私の視線を辿るように左を向く。気がつき視線をずらしたけれど間に合わない。愛奈は私が見ていたのが純だと気がつき、口角をぐっと持ち上げる。

「なぁに、優利ってば、『顔が整ってるのはわかるんだけどね』なんて冷めたこと言ってたくせにめっちゃ見つめてるじゃーん。好きだったなら最初から言いなよ、素直じゃないねぇ」

思った通り、そんな勘違いをしてしまっている。この辺な感情も、恋愛感情ではないはずだし、完全な愛奈の思い込み。

「ちがう!そのーちょっと、お弁当分けてもらってるのが気になっちゃって・・。思ってるような感じじゃない!絶対!」

「気になるってどんな感じ?」

「うーん、嫌だなーとか、あの子たちは好き、なのかなーとか、別に分けてもらう必要はないんじゃないのかなーとか、ね」

「ふふん、やっぱりね、それはズバリ、恋です!私、恋バナ聞くのは大好きだから、大歓迎!いっつでも相談に乗ったげるよー!」

勝手に話が進んでる・・!・・違うと思ってたけれど、気がついていないだけで、もしかして好きだったのかな・・?

気持ちがすっきりしないまま、昼休みは終わり、いつも以上に全く内容が入ってこない午後の授業も終わった。