チリリリリ、リリリリリ


「うううー眠い・・・」


うるさい目覚ましの音で目がさめる。もう少し寝たいけれど、どうにか体を起こす。


下に降りて純がいるか確認する。・・・いないよね。だよねー。朝ごはん、食べたかったのに。


しょうがない。書き置きでもして食堂に行こう。えっと、朝ごはんを食べに食堂に行ってくるね。・・なんか違う。ま、いっか。何時頃に帰るかな。今はーーえっ、5時・・さすがに早すぎる。食堂、開いてるわけないよね。・・なんで目覚ましが5時に設定されてるの・・・・ やばい、寝るか。でも、こういうときって寝れないんだよね。どうしよう・・・。よし、せめて自分のためにも純のためにも勉強でもしとくかな・・。


机に教科書を広げてマーカーペンを手に取る。勉強するっていったけれど本当にノートに問題解いていったりするのは疲れるし、こんな朝っぱらからしたくない。だから、勉強といっても教科書にしるしをつけて復習と予習をするだけ。まあ、やってるだけでえらいんだから別にいいよね。


えっと、ここのまとめは重要そう。線を引いてと。あ、この言葉はポイントだよね。よし、ピンクで色をつけよう。このページは・・・・解き方ばっかりだ。とばしちゃおう。


意味があるんだかないんだかわからないぐらいの色付けをだいぶ進め、疲れてきたところで時計を見てみる。おおっ。5時半!あと30分くらい頑張るか。ぐっと伸びをする。


なんだかんだで30分過ぎ、6時になった。そろそろ純が起きてくる頃合いかな。


少し待てば美味しいご飯が食べられる。だけど5時から起きている私のお腹はもう限界。さっきからお腹すいたアピールがぐーぐ
ーうるさい。お腹が減っているのなんてとっくに知ってる。なんなら朝起きた時からぺこぺこだった。だからもう食堂に行くから少しぐらい静かにしておいてほしい。


ぺこぺこなお腹を抱えて食堂へ向かう。私は朝はパン派だから洋食系かな。想像するだけでお腹が背中にくっついちゃいそう。


食堂について私の好みぴったりの洋食を頼む。もらったパンを一瞬でお腹の中へ。ウィンナーや目玉焼きも全てあっという間に吸い込まれていった。まだ満たされないのでパンをおかわりする。太るなーと思っていても、空腹には耐えられない。


結局食堂に1時間ほど滞在してお腹いっぱいになって満足した私は鼻歌なんか歌いながら部屋へ戻った。


「ただいまっ純起きたー?」


部屋を見渡すとこちらは一切見ずに私の今朝の勉強とはレベルが違う勉強をしていた。(これが普通の勉強というものなんだけどね。)やっぱり本気だよね。


「おはよう、純。さすが朝から勉強ですか。さてはっ成績で金の卵の夫婦を狙っておるな!?」


機嫌が良くてテンションが上がり、変なノリになってしまう。でもそれがわかっていてもなんだか誰かと話したい。


「おはよう、朝5時から起きて困ってやっと食堂に行けた気分がいい優利さん。君のおかげで僕まで寝不足なんだけど。あと朝からそのノリきつい。人を巻き込まないでくれる?」


「えっ!?なんで知ってるの!?」


朝5時に起きてしまったことがバレてる!?そんな大きい音出したっけ?


朝から変わらず凄い勢いでディスってくる。なぜそんなにも人をディスれるのかが気になるくらい。なのに顔は無表情。ちょっと怖い。


「少し物音がしたから。優利のことだから困っているんだろうなぁって。最悪。優利のせいでいつも以上にすごく眠い。やめてよね」


「はぁ、朝から何でそんな人をディスれるかなぁ。確かにあのノリは自分でもきつかったけど、イライラするじゃん。ほんとは言い返してやりたいところだけど、1時間も食堂にいちゃって時間がないの。で、急いでるから今日は見逃してあげる。次はないからねっ」


あだ名でもつけてやりたい気分だけど、時間もあまりないので急ぎめで準備をするため、上に行く。


机から今日必要なものを取り出して、カバンに詰め込み、純をおいて早足で教室へ向かう。


教室に向かいながらまた考える。純は、これからどうしたいって考えているんだろう。私は・・・・昨日決めたのに、思い返すとまたよくわからなくなって、本当にこれでいいのかと不安になってしまう。少し待って、トレードしたい人をお互い見つけてから、トレードする。それが昨日出た答え。なのに、本当に私はトレードがしたかったんだっけと、どんどん考えがぐちゃぐちゃになっていく。


自分だけではもっとわからなくなっていくだけだし、これは2人の問題だから、今日の夜、純に相談しよう。私は今はどうしたいかわからない。だから言われた通りにしよう。トレードしたいと言われたら・・・・・、そこは素直に従うしかない。だけど、


「トレード・・・、純は誰とするんだろう・・・」


思わず考えが口に出てしまう。恥ずかしい。


ぶんぶんと首を振り、考え直す。純のことは、今は関係ない。今日の夜、全部聞こう。


ちょうどいいタイミングで教室につき、スッキリした気分でドアを開けた。