今日は土曜日。優利はまだ起きてこない。どうしよう・・・。土曜日で今日も明日も休みだから、ゆっくり起きるつもりなのだろう。


どんどん焦りが出てきて早く早くと思うようになる。ダメだと思っているけれど、早く誤解を解きたい。


勇気を振り絞り、優利の寝ている部屋に向かって呼びかける


「優利ー、優利、起きて。勉強するよ。反論は許さないからね。〝金の卵の夫婦〟本気で目指してるんだから、ちゃんと付いてきてよ」


パートナーでいたいアピールとして「付いてきて」と言ってみる。さすがに気がつかないか。


「勉強・・・、どの教科?」


優利はまだぼんやりした感じが残っている。俺は緊張しながらもいつも通りを装って、勉強に誘うことに成功した。


勉強している間もずっと、いつ言おう、いつ言おうとどんどん焦りが積もっていく。なかなか踏み出せなくて困っていた時だった。



「ねぇ、純、あのさ・・・」


優利が口を開いた。またわからない問題かと思い、言い終わる前にどこがわからないのかをたずねる。



「違うの、勉強じゃなくて、他のことで話があるの。もう1度聞きたい。これからの私たちのこと」


言いづらそうに口を開いた優利は、俺よりも先にこれからのことについての話を始めた。


先を越された。うじうじしているからだ。結局俺たちの間ではいつも、なんでも優利から始めてくれる。俺が弱いから。


せめて安心させようとできるだけ伝わりやすいように本当のことを話していく。だけど、はっきり『ずっと好きだった』とは言

えなかった。なんなら恥ずかしくて、『やっぱり』なんて言ってしまった。これも俺の弱さのせい。


優利がわかってくれたところで、優利を笑わせようと、俺なりの精一杯の冗談を言ってみる。まんまと騙されてくれた優利も可愛くて、俺っぽくないが声を出して笑ってしまう。


改めて優利にパートナーでいてくれと言われて、ものすごく嬉しかった。長年の頑張りが報われた気がする。本当は自分から言いたかったけれど、それは俺にはまだ無理みたいだ。


これからもこんな俺だけどよろしく、優利。〝金の卵の夫婦〟になれなくても、一緒にいてほしい。まだ『好き』とも言えてな
いけれど、少しずつ進んでいくから、待っていてほしい。


俺たちはまだまだこれからだ。