「ふう・・・」


私は部屋の前で軽く息をはく。



ここは七海学園高校。ここは世界一の結婚を目指し、パートナーと2人部屋で寮生活を送る〝結婚科〟がある特別な学校。


3年後に〝金の卵の夫婦〟が選ばれ、卒業と同時に入籍、大IT企業の社長になる。


私は、なんでも平均ぐらいで、彼氏もいないし、顔も普通。

小さい頃から運命の相手などが好きで夢見がちだった私はマッチングシステム〝デステニー〟によって選ばれる1番相性のいい運命の相手に憧れて七海学園高校に入学した。この学校では、その〝運命の相手〟とパートナーになり生活する。


今日からこの七海学園高校で過ごすパートナー・・・どんな人だろう。


私は心を決めて扉を開けた。


「え・・・・、なんで・・・?」


そこには私の幼馴染、中西純がいた。ふつうに荷ほどきをしている。振り返って私に気がついた純は、すごく高速で瞬きをしている。高速瞬きの後、はあ、と呆れたように息を漏らして言った。


「なんでって・・・こっちのセリフなんだけど・・・・・・。優利の部屋はここじゃないでしょ。勝手に入ってこないでよ」


は・・・?私は焦って自分の部屋番号を思い出す。・・・・合ってるよ?


「私、部屋ここなんだけど・・・。純もここで合ってるの?」


純はこくりとうなずく。


もしかして・・・、パートナーって・・・、


「パートナーってもしかして純なのかな?」


「俺のパートナーが優利ってこと?」


こちらを向いた純と目が合う。目でお互いに「そういうこと?」と聞き合う。どちらもうなずかない。でも、ふたりとも認めざるを得なくなってしまう。お互いこれでもかとくらい嫌そうな顔をした。


「・・・えーっ・・・嫌なんだけど」


「…えーっ…純とパートナーぁ?」


だいぶショック…憧れのJK生活・・・一生に一度の青春たちよ・・・。高校生活大丈夫かなぁ…


純は私の、〝運命の相手〟ってことなのか・・・なんか思っていたのと違う・・・。


「はぁぁぁぁー」


純も純でショックだったみたい。大きいため息をついている。私もおんなじ気持ちだよ…。