「蒼、こっち見て」

「なんで留衣だけそんな余裕なんだよ?」

「余裕なわけないよっ。でも、蒼の顔見たいから」

 蒼はゆっくりとわたしを見る。

 今まで幼馴染だった蒼、だけど今はそういう風には見れなくて……。

「これからは、恋人としてよろしくお願いします」

 って言いながら蒼はぺこりと頭を下げた。

「こちらこそよろしくお願いします」

 言った瞬間、顔がぶわあって熱くなって口元が自然とにやける。

 蒼は立ち上がり「花火でもするか」とわたしに手を差し伸べた。

 そっとその手に自分の手を乗せた。蒼の手はすごく温かかった。

「一華に絶対からかわれるね」

「いいんだよ、からかわれても。ていうか、神山は大丈夫なのか?」

「春樹君は最初から分かってたみたい。わたしが蒼のこと……好きなこと」

「へ、へえ」

「と、とにかく花火楽しもう!」

 そのとき、ちょうど花火が打ち上がった。いろんなところからみんなの「きれい」とか「おおっ」という声が聞こえてくる。

「2人とも手繋いじゃって〜」

 とうしろから現れたのは一華だった。

「おめでとう、お2人さん」

「ありがとう」

「まあ、わたしはなんとなくこうなること分かってたけどね?」

 なんて言いながら一華は笑っている。

「さあさあ、花火楽しみましょう」

 一華に背中を押され、わたしたちは手を繋いだまま広場の中心へと行く。

 蒼を見た。今までで1番、輝いて見えた。

「好きだよ、留衣」

「わたしも」