好きになっちゃ、だめでしたか?

 その夜一華に電話すると、わざわざ家まで来てくれた。

 お母さんは、ぜひ泊まっていって、と一華に言う。

「ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えて」

 2人でわたしの部屋にくると、わたしは早速ため息を吐いてしまった。

「で、どうしたの?」

「直接じゃないんだけど……蒼に、好きって言われて」

 近くにあったソファを胸に抱いて、ぎゅっと押しつぶす。

「えっ!? 大野に!?」

「どうしよう……。好きなんて聞いちゃったから、妙に意識しちゃって。でも……」

 わたしは黙っていたるいさんのことを一華に話した。

 けれど、反応は思っていたよりも落ち着いていて「そっか」と言うばかり。

「もしかして、知ってた?」

「あ、ううん。知らなかったよ」

 一華は首を振る。

「ちゃんと、春樹君と話したほうがいいのかな。このまま逃げてるだけじゃ、だめなのかな」

 蒼の気持ち、それに自分の気持ち。2つが心の中でぐちゃぐちゃに混ざり合っている。

「そうだね、1回くらいはちゃんと話したほうがいいかもね。自分の気持ちと向き合うためにも」

「でも、蒼、いつからわたしのこと好きだったのかな、春樹君と付き合ってるときは全然平気そうな顔してたし」

 中学の時は絶対にない。じゃあ、高校になってから……? 急に?

「んーまあ、いつなんてどうでもいいんじゃない? 大切なのは今だから」

 大切なのは今……確かにその通りだと思った。

「一華あ。もうわたし、どうしたらいいか」

 そのとき、隣の部屋の扉が開く音が聞こえ、すぐあとにわたしの部屋の扉がノックされる。

 はあい、と開けるとそこには案の定お兄ちゃんがいて。

 そういえば、と一華を見ると、蒼の言葉通りいかにも動揺した姿を見せていた。