好きになっちゃ、だめでしたか?

 次の日、蒼は10時ちょうどに迎えにきた。

 今日は生憎の雨で、けれどプラネタリウムにはちょうどいい。

 それよりも、雨の中の蒼は見慣れているはずなのに、なぜだか今日は妙に心臓がそわそわする。

「雨でも星が見られるんだから、いい時代だよね」

 わたしたちはべつべつの傘をさす。

「留衣ってそんなに星好きだったっけ?」

「うーん、見るのは結構好きかも。知識はないけど」

 意外な留衣発見、と蒼は笑う。

 わたしはつい、蒼から目を逸らしてしまう。

 この前からなぜだか蒼をちゃんと見られなくなっている。あれ? 蒼ってあんなにかっこよかったっけ? って、昨日寝る前にも自問してしまった。

 きっと、蒼が最近優しすぎるからで、ただ頭が追いついていないだけだ。
 
 家から30分ほど歩いたところにプラネタリウムはあって、蒼と歩いて過ごす30分はあっという間だった。

 実はプラネタリウムに来るのはこれがはじめてだ。

「実は、プラネタリウムのチケット持ってんだよなー」

 と、入り口で蒼は2人分のチケットを受付の人に渡した。

「え、いいの?」

「親からもらったやつだし」

 蒼はほら、と言い手首を握る。

「こ、子どもじゃないし。手首……握らなくても」

「ま、そこまでだから」

 蒼に掴まれている手首が熱い。

 蒼の体温が伝わってきて、今までみたいな余裕がなくなる。

 心臓がどきどきして、息苦しくさえなってくる。

 プラネタリウムの会場にはいると、蒼はようやく手を離した。

 蒼を見るといつもの通りの涼しい顔をしていて、自分だけが緊張しているのが少しだけ悔しい。

 わたしたちは中央の席に腰かけた。

 まるで寝るために作られたような椅子は、身体を包みこんでくる。

 映像がはじまると星が天井に次々と現れてくる。

 星座に見たかった天の川、けれど眠気も襲ってきて。

 うとうとしながら、最後には目を閉じて音楽に耳を傾ける。