黒の塗装をされた車にまさかお兄ちゃんも付いてくるなんて。



「それより、日向その格好はどうするんだ」



聞かれると思った。今の私の格好は女らしさの欠片もない着こなしだ。



「なんか、こっちの方が落ち着くんだ...」



「そうか」



優しい兄はいつも私のことを思っている。



そんな兄を私は、好きなんだ。



「おっ、そろそろ着くぞ」


今の私の格好は分厚いメガネに、膝竹のスカート。そして胸まである髪の毛をお下げにいている。



他人から見ると地味だと思われるらしい。




緊張感のある車の中で私は、中学の頃の自分を思い出していた。