「え、成瀬さん? 来てませんけど……分かりました。見かけたら連絡します」
 
 クラスメイトの名前が出てきた上、状況も良くなさそうだったので、胸の辺りがざわつく感じがした。

 好奇心と心配が入り交じったような気持ち。

「ねえ、菅野さん」

 入部先生が、受話器を置きながらこちらを振り返る。
 さしずめ、ちょうど同じクラスの私に成瀬さんのことを聞きたいのだろう。

「ここに来るまでに成瀬さん見かけなかった?」

 やっぱり。
 
 見ていないことを伝えると一緒に、それとなく状況を聞いてみようかな。

 単純に気になるし。

「いいえ。何かあったんですか?」

「連絡もなしに授業を休んでるみたい。一度も話した事がないから分からないんだけど、普段はサボりがち?」

 ……まさか。

 すごく大人しくて、勤勉で、サボりのサの字も知らなさそうなあの子が?
 少なくとも、授業が嫌で無断欠席している事はありえないと思うけど。

「いや、すごく真面目な子です」

 入部先生は、首に手を当てて難しそうな顔。

「だったらなおさら変だね。何も無ければいいけど」

「そうですね」

 教室に帰ったら、伊織に話を聞いてみようかな。何か分かるかもしれない。