―――真奈(まな)が亡くなってからもう半年か。

 六月になり、雨の日も多くなってきたこの頃。
 学校生活には慣れてきたし、新しい友達も出来たけれど、やはりあの日のことは簡単には忘れられず、何となく鬱々とした毎日を過ごしている現状。

 単純な悲しみだけではなく、真奈を自殺に追い詰めた原因に対する怒りと、真奈の心の叫びに早く気付いてあげられなかった自分に対する失望感が、ふとした時に思い出されてやまない。

 その度にずーっと思うんだ。

『あの時、真奈の心を読むことが出来たら良かったのに……』

 って。
 
 どんなに表では明るく振る舞っていても、心の底では辛くて、誰かに助けて欲しくてしょうがなくて。そういう子ってやっぱり一定数いて、そのうちの一人が真奈だった。

 あの子は、自殺を実行した前日でさえ笑顔を見せていたから。

 だからこそ、「心が読めたら良かったのに」なんて、普段なら非現実的だと一蹴してしまうようなことを願ったのかもしれない。

 他の人の心まで読めたら、心無い言葉に傷ついちゃいそうだから。

―――世界で一人だけ、真奈の心だけを読むことが出来たら良かったのに。