一度倒れたら、溺愛がとまりません!!

「三浦、こっちのベッド」

「了解、患者は有川南。体温40.2 酸素濃度は92%、
解熱剤と酸素マスク、氷枕もおねがい。心電図もつけて
発作止めの点滴も」

「はい!」
看護師とともに南の処置にあたった。

この熱からして、熱せん妄だと思われる。あんなに荒れたのは、熱せん妄とメンタルが壊れてるから…

やっぱり呼吸音は良くなくて、持病の悪化が心配される。

「三浦、大丈夫か?」

「ありがとう、でも正直きてるかも。いろいろ」

「一番南ちゃんが大変だとは思うけどさ、お前も大事だからな。南ちゃんが一番心配するのはお前のことだから。
今、どんな心?メンタル?」

「俺もわからない。怒りなのか、悲しみなのか、心配なのか、疲労なのか。南の様態は今までで一番悪化してる。
南の母親がなくなったときよりも…だから、南が生きる希望をなくしてたら怖い。


あぁ…そっか。恐怖なのかも。南が幸せだった頃の記憶よりも嫌な記憶がまさって、幸せだった記憶をなくしてしまうのが怖いのかも」

「三浦、今日は、まだいいけど明日南ちゃんが安定したら休みとれ。寝ろ。お前が倒れる。それを一番嫌がるのは南ちゃんだからな、心配なのはわかる。でも、自分の体も大切にしろ」

「うん、知ってる。わかってる」

俺は南の手を握りながら続けていった。

「でも、南が目覚めたとき。いてやりたい。絶対パニックになるから。それを止めるのは俺の役目。そして、南を底の見えない暗闇から救いたい。笑顔がみたい…それだけなんだよ」

俺の頬に涙が通った。

「コイツの幸せを守りたい。ずっと笑っていてほしい。この事件で自分が幸せになる資格なんてないなんて、思ってほしくないんだ……」

「わかった。やばかったら俺がお前を止めるから」
松崎はポンポンっと肩を叩いて戻ってった。