少女は幼い頃を覚えていない。
姿はなくとも自分と同じように、『好き』である想いを持ったままの自分でいたいと彼は言った。
「…あなたをもう、怖がらない。あなたを好きになれるようにするわ。だから…」
突然、少女は感じていた温かさがゆっくりと離れていくのを感じた。
『…君の、望む通りに…。君が消えてしまうくらいなら“僕”は君を、自分のものには出来ない…』
その呟きとともに小さな光が一瞬だけ見えると、少女は再び闇に掻き消えた。
………
夜道をひとり歩いていた少女は気付き、止めた足で恐る恐る後ろを振り返る。
「…だれか、いるの…??」
少女は怯えている。しかし、ふと顔を上げた。
「…なんだか、こわくない…。不思議ね、だれかに優しく包まれている気がするからかもしれないわ…」
少女はまた小さな灯りを手に、家へ向かってゆっくりと歩き出す。
闇に包まれた、少女の身に起きたほんの短い時間の出来事。
少女は何も覚えていなかった。
それでも少女は恐れていた闇に、小さな安らぎを見出した。
そして…
『…闇は怖くないよ…だから、君を好きでいさせて…』
少女にはもう聞こえないその声。
しかしその想いは、少女の心に変化を与えて…
姿はなくとも自分と同じように、『好き』である想いを持ったままの自分でいたいと彼は言った。
「…あなたをもう、怖がらない。あなたを好きになれるようにするわ。だから…」
突然、少女は感じていた温かさがゆっくりと離れていくのを感じた。
『…君の、望む通りに…。君が消えてしまうくらいなら“僕”は君を、自分のものには出来ない…』
その呟きとともに小さな光が一瞬だけ見えると、少女は再び闇に掻き消えた。
………
夜道をひとり歩いていた少女は気付き、止めた足で恐る恐る後ろを振り返る。
「…だれか、いるの…??」
少女は怯えている。しかし、ふと顔を上げた。
「…なんだか、こわくない…。不思議ね、だれかに優しく包まれている気がするからかもしれないわ…」
少女はまた小さな灯りを手に、家へ向かってゆっくりと歩き出す。
闇に包まれた、少女の身に起きたほんの短い時間の出来事。
少女は何も覚えていなかった。
それでも少女は恐れていた闇に、小さな安らぎを見出した。
そして…
『…闇は怖くないよ…だから、君を好きでいさせて…』
少女にはもう聞こえないその声。
しかしその想いは、少女の心に変化を与えて…



