「久世くん、ありがとう」
私の代わりにハードルをしまってくれた久世くんに改めてお礼を言う。
「別に大したことしてない」って言うけど、私にとってはそんなことないんだもん。
『す、好きな人の2つ後ろの席からお願いすれば、さらに叶いやすくなるって書いてあったから……』
……この前のおまじないのこと、久世くんにはとっさにあぁ言ってしまったけど……
フォローしなくて大丈夫かな?
久世くん、私が椎名くんのことが好きだって勘違いしてるよね、絶対。
いや、本当の好きな人がバレるより全然良いんだけど、でも、なんか……
「──花戸さん、そこ、血出てる」
「えっ?あ、ほんとだ……」
どこからで擦りむいてしまったのか、膝から血が滲んでいる。

