顔を上に向けたところで、私の時間がピタッと止まる。
ぱっちりと目が合っている人物に、はくはくと口を動かすことしかできない。
「し、椎名くん……」
なんとか名前を呼ぶと、椎名くんは目を大きく見開かせて、パッと私から顔を逸らした。
手のひらで顔を覆って、「不意打ち……」なんて、そんなことを小さく呟いてる。
「あー……その格好は、」
「えっ、と、ウェイトレスの子が休みだって言うから代わりに……」
「花戸さんがするの?それ着て?ウェイトレスを?」
「う、うん……あでも、やっぱり変、だよね」
ど、どうしよう。
恥ずかしくなってきた。今からでも他にやってくれる子を探した方がいいのかも……。
「何言ってんの?変じゃないよ」
「へ、」
「可愛いよ。まじで、ほんとに。」

