や、やばいっ!転んじゃう……!!
痛さと衝撃に堪えようとぎゅっと目をつぶった瞬間。
腕を引っ張られて、気付けば誰かの胸の中。
パチパチ、瞬きを繰り返せば、やわらかい柔軟剤の匂いがふわりと香った。
「何してんの……」
「っ、」
その声を聞いて、一瞬で私が今誰の胸の中にいるのかが分かった。
ど、どうしよう。し、心臓いたい……
ドキドキしすぎてる。
だって、この人、は、絶対に……
「く、久世くん、ですか?」
「……そうですけど」
その答えを聞いた瞬間、私、すぐに久世くんから離れました。
だって、久世くんは私の好きな人で。
そんな人と心の準備も出来ないままくっつくなんて、そんなの、

