君の甘い笑顔に落とされたい。


だから気にすることなんてない。
私が久世くんと両想いになるなんて、そんな可能性はとっくのとうになくなったんだから。


一々傷ついてる場合じゃない──……


「っわ……!?」


突然、ぐいっと腕を引っ張られた。
びっくりして顔を上に向けると、椎名くんと目があって。

「行こ」って、椎名くんに引っ張られるがまま着いた場所は使われていない空き教室。


「あの、椎名くん?どうしてこんなとこ……っ」


不自然に言葉が途切れたのは、椎名くんが私の頬に触れたから。

親指で優しく頬を撫でられて、びっくりして目を見開いた。


「絵の具ついてた」
「っえ、」

「花戸さんって抜けてるとこあるよね」
「そ、そんなことないよ」

「ううん、抜けてるし意外と感情が顔に出やすい」