君の甘い笑顔に落とされたい。


でも、椎名くんにまで心配をかけるのはどうかと思うから、パッと笑って見せた。


「なにもないよ!大丈夫」
「……」

「もともと住む世界がちがったし、むしろこれが当たり前っていうか」


2年になったばかりの時だって全く話していなかったんだし。
そう続けようと椎名くんの方を見た。


「嘘つき」
「え……」

「泣きそうな顔してるのに、よく言うよ」


仕方ないな、とでも言うかのように椎名くんは小さく笑う。


「あれ?ねぇ久世くんはー?」
「あのモテ男なら3年の先輩に呼び出されてるから今はいねぇよ。どーせ告白だろ〜うらやまし〜」


その時、教室から聞こえてきた会話はこんなもので。

思わず、手が止まってしまった。

久世くんが誰に呼び出されているとか、私には関係のないこと。
こんなこと日常茶飯事だったでしょ。