君の甘い笑顔に落とされたい。


久世くんのグループの人たちに自動販売機をゆずって、桃ちゃんと教室へと戻ろうと方向転換。


……あっ、その前に……


「椎名くん、」


自動販売機から少し離れたところから名前を呼ぶと、椎名くんはパッと振り返った。
「なにー?」なんて、そう言いながらこっちまで来てくれる。


「……あの、夏休みはごめんね?せっかくお祭りに誘ってくれたのに断っちゃって……」
「あぁ、そんなの全然いいよ。俺も急に誘っちゃったし」


夏休みが始まって1週間が経った頃、椎名くんから連絡がきたことがあった。

夏祭りに誘ってくれたんだけれど、久世くんとのこともあったから断ってしまった。

お祭りを楽しむ気分じゃなかったし、そんな私が行っても、椎名くんも楽しくないだろうなぁと思って。