そのさりげない優しさにも胸が鳴ってしまう。
ベンチの背もたれに背中を預けて息をついた。
久世くんの、特別になりたい。
私にだけ優しくしてくれればいいのに。
そういった欲が、どんどん溢れて止まらない。
「おねーさん、1人?」
3人がけのベンチ。その真ん中に、1人の男の人が座った。
髪の毛を明るく染めて、ピアスも空いてて。
柄の悪そうな、そんな人。
「1人ではない、ですけど……」
「えーそうなの?可愛いから声かけちゃった。今暇?俺と遊び行かない?」
……ていうか、端っこの席も空いてるのにどうしてわざわざ私の隣に座ったんだろう……
「ごめんなさい、人を待ってるので」
「いーじゃん、行こうよ。ほら」

