「そんなにポップコーン好きだとは思わなかった」
「えっ、いや私は別に……」
「ぜったい嘘。だってすげー勢いだったもん」
「はー可笑しい」って、楽しそうに笑う。
……私は、ポップコーンは別に無くてもいい派だし、絶対に食べたいかと聞かれたら首を振る。
それでも久世くんの腕を引っ張ったのは、その笑った顔が見たかったから。
「もう、笑いすぎだよ」
だから、もうポップコーン好きの変な奴って思われてもいいや。
館内が少しずつ暗くなる。
映画が始まる合図だ。
良かった、久世くんが元気になってくれて。
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