君の甘い笑顔に落とされたい。


「……気になる?」


久世くんに視線を移す。
じっと私を見つめたまま、久世くんはそれ以上なにも言わなかった。



「……あ、チケットのこと?気になるって聞かれたらその通りだけど……」



でもこれは単に手持ち無沙汰だっただけというか。
っあ、別に久世くんと2人でいるのが嫌だとかそういうわけではなく……!!

慌ててそう続けると、「分かったから落ち着け」と、呆れたように言われてしまった。


「あの、結局どんな話をしてたの?」
「内緒」
「えぇっ」

「時間になった。いこーぜ」
「あっ、待って久世くんっ」


館内アナウンスと共に立ち上がった久世くんの後を慌てて追いかける。

……気のせいかな。
久世くん、さっき少し元気がなかった。