……びっくりした。
本当に、びっくりした。
『花戸さんのこと好きだからなー……』
危うく、本気にしてしまうところだった。
からかわれただけって、すぐに気付けてよかった。
パタパタと、熱くなった頬を冷まそうと手のひらを仰ぐ。
気付けばもう第一音楽室の前で。心臓を落ち着かせるために深呼吸をする。
久世くんが、この扉の先で待っている。
中に入ると、ソファに寝転がっている久世くんが見えた。
足音を立てないようにそーっと近づいてみる。
「(寝てる……)」
久世くんって、寝顔も本当に綺麗だなぁ。
起こすのはなんだかもったいない……
久世くんが起きるまで待っていよう。
ピアノの椅子に座ろうと、ソファから離れる。

