君の甘い笑顔に落とされたい。


「恭介といる時は楽しそうにしてるけど。」



真っ直ぐに私を見つめる久世くんの瞳。
今朝も、そういう風に私を見ていた。

滅多に表情を変えることのない久世くんの、微かなサイン。

ねぇ、久世くん、それって──……



ガラッ──



突然の勢いよく扉が開く音。
ハッとしてその場から立ち上がる。

繋がれていた左手はその拍子に解かれて、
それが少し名残惜しく感じてしまったのは、私だけなのかな。



「ちょっとー?ここに隠れるのはズルじゃない?」



扉にもたれて、疲れたように笑ったのは、椎名くんだった。


「はい。花戸さんアウトね。警察チームの勝ちー」
「えっ、あの2人も捕まったの?」

「そりゃね。全力で確保させていただいたけど?」
「すごいね椎名くん、足速いんだ……」