君の甘い笑顔に落とされたい。


「ん?」


いつもよりほんの少し表情をやわらげて、
しっかりと私を見つめて微笑む久世くん。


ドッ、と、心臓が大きく動いて、
頬がじわり熱くなるのを感じる。

だめだ、久世くんの笑顔は破壊力抜群すぎる。
ドキドキして苦しくて、何も言えなくなる。


「っ……」


あ、いま、不自然に目を逸らしてしまったかもしれない。
大丈夫かな……、変に思っちゃった……?


「ごめ、いま感じ悪かった……ただ、久世くん滅多に笑わないから、」


だから急に笑った顔を向けられると、びっくりするっていうか。
なんて、目を合わせずに小さな声で続ける。

久世くんが口を開いたのは、数秒の沈黙のあとだった。



「……おまえだって笑わねーだろ」



呟くような声に、「え……」と思わず顔をあげる。