君の甘い笑顔に落とされたい。


その言葉に目を見開く。


『……怒ってはないけど、おもしろくない』
『俺に、会いにきてくれたのかと思ってた。』


そんことあるわけないって分かってる。
分かっているけれど、あんな言葉をかけられて、そんな風に見つめられたら。

私のことを少しでも意識してくれてるんじゃないのかって、期待してしまう。


「なに」
「や、なんでもない、」


だめだめ、そんなことあるわけない。
変に期待するのは良くない。

良くない、けど、
……でも、もし、本当にそうだとしたら……


「あの、久世くん……」


繋がれたままの左手。
無意識に力が入ってしまう。

俯きがちだった顔をあげて、
恐る恐る久世くんに視線を移した。