君の甘い笑顔に落とされたい。


ど、どうする?もう、諦めて捕まる?
でも、せっかく誘ってくれたあの2人にも申し訳な──……


「っ、!」


その瞬間、目の前の扉がガラッと開いた。
誰かに手首を掴まれて、引っ張られるがまま私の体は教室の中へ。


扉が閉まる音と、「あれっ……花戸さんいないじゃん……!」という声が同時に聞こえて、
突然のことに私は瞬きをすることしかできなくて。


「なにやってんの……」


呆れたようなため息とともに耳に届いた声に、きゅっと心臓が止まったような気がした。

石鹸の匂いがふわりと香って、掴まれた手首がじわじわと熱を帯びる。



「く、久世くん……」



ぱっちりと目が合う。
久世くんの瞳はほのかに茶色がかっていて、そこには顔を赤くした私がばっちりと映っていた。