君の甘い笑顔に落とされたい。


隣のクラスも見てみる?
……いや、ここで反対の階段から挟み討ちされても困るし……


「(す、スリル満点すぎるよっ)」


ダメ元で4階まで階段を駆け上がる。
どこか隠れられるところはないの……

社会科準備室の扉は、鍵がかかっていて開かない。その隣の視聴覚室も。


第二音楽室は軽音部が使っているから入れないし、あと残っているのは……


肩で息をしながら、第一音楽室の扉を見つめる。
この教室は鍵がかかっていないって、久世くんが前に言ってた。
隠れるならここしかない……けど、でも……



「(ここは、久世くんだけの場所……)」



気軽に入ってはいけないような気がする。


「──花戸さーんっ!もう逃げられないよー!!」
「ひっ、」


声、近づいてきてる!
いつ4階までの階段を上ってきてもおかしくない。