「そうだ!良かったらこれ使って!」
スクールバックからハンカチを出して椎名くんに差し出す。
「ハンカチ1枚じゃどうにもできないけど、ないよりマシだと思うから……」
椎名くんは、足元を見つめたまま。
急に話さなくなったから、あたふたしてしまう。
椎名くん、どうしたの?大丈夫?
もしかして、どこか痛い?
「椎名くん?」
私の声に、椎名くんは顔をあげた。
「ごめん、なんでもない!」って、また笑う。
今度は、いつもの明るい笑顔だ……
「ハンカチ俺が使っていいの?」
「もちろんだよっ、だって顔とか濡れてるもん」
「そう?じゃあ、花戸さんがふいて」
「……はい?」

