君の甘い笑顔に落とされたい。


折りたたみ傘は風で骨が折れてしまって、
椎名くんが慌てて「ごめんっ」と言う。

前髪から雨粒が滴り落ちて、
シャツは雨のせいでべっとり肌にはりついた。


すっかり濡れてしまった髪を耳にかけて、椎名くんに視線を移す。


「あはは、濡れちゃったね。大丈夫?」
「っ、うん……ごめん、」


なぜかパッと顔を逸らす椎名くんに首をかしげる。


「なんでもない。」
「……そう?」


とりあえず近くの屋根があるお店の前に移動して雨宿りをすることに。

空を見上げるけど、雨はやみそうにない。


「駅まで走ろっか!私足遅いから椎名くんは先行っていいよ」


私も椎名くんも雨に濡れてびしょびしょだ。
このままじゃあ風邪を引いてしまうかもしれないし。