海色の世界を、君のとなりで。


「───…来い、成瀬」


「えっ……」



ぐいっと手を引かれて、海に足を踏み入れる。


ざらざらとした砂の感触と、足に寄せる波の冷たさが心地よかった。



これはきっと、夢の続きだ。


星野は夢の世界にいるわたしを、ここまで連れてきてくれたのだ。


いくら手を伸ばしても届かなかった海に、わたしを引っ張ってきてくれたのだ。



「……言っとくけど、これ夢じゃねえからな。現実だ」


「え……?」


「なんでもねえ。独り言」



まるで心を読んだかのような言葉をくれる星野は、そう言って笑った。


美しく煌めく海色の瞳が細くなって、同時にゆるりと口角が上がる。



「綺麗……」



綺麗だ、何もかも。


海も、空も、ガラスドームも、星野の瞳も。


わたしの心を打って、揺さぶって、簡単には離してくれない。


そんな圧倒的な力を持っている。



────他人以上、恋人未満。



我ながら言い得て妙だと思っていた関係性も、もしかするとこれから変わるかもしれない、と頭の隅でそんなことを思った。


淡く、今はまだぼんやりとしているけれど、それでも彼ならきっと本当にしてしまうのだろうと。


言ったことは、すべて叶えてしまうのだろうと。


世界中にあふれる綺麗なものに負けないほどの美しさを持つ彼を見つめながら思う。