「いいから声に出せ。祈れ」
「……分かった。わたしと星野は、来年も同じクラスだよ」
まあ、いい。
思い出しかけた記憶も、彼と過ごすうちにいずれ思い出すだろう。
今はただ、彼の言う通り声に出して祈るだけだ。
同じクラスであってほしい。
来年も今と同じように、彼のとなりで過ごしていたい。
好きが恋愛に変わっても変わらなくても、彼のそばにいたい。
「言葉は人を追い込んで、臆病にさせることもあるけど……それ以上に、誰かを救ってやることもできるんだよ」
「星野や可奈がわたしを救ってくれたみたいにね」
「……逆の方が大きいだろうけどな」
さらりと流れるように告げられた言葉に首を傾げると、ふっと笑みが降ってくる。
「なんで笑うの?」
「お前の顔が…あんまりにも変だったから」
「ねえそれただの悪口!」
「冗談だ、ばーか」
顔を見合わせて、いつかのように互いに噴き出す。
きっと来年もわたしたちはこうして笑い合っているのだろう。
くだらないことで言い争って、競って、泣いて、また笑って。
そんな毎日も悪くない。



