生まれたのは安堵と羨望。
なかなかの強敵だと思っていたからこそ、断られたと聞いて少し安堵してしまった。
そして、想いを伝えることができたことを羨ましく思ってしまった。
彼女の努力の結果に過ぎないのに。
「そうか」
声は、震えていた。
なんと言ってやれば良いか分からず、それきり口をつぐむ。
「……私の負けです」
へへ、と笑う彼女は、なんとも言えない儚さを纏っていた。
「負けとかじゃねえだろ。あんたはよくやったよ。……尊敬する」
本心だった。
単純にすごいと思った。
今まで築きあげてきた友情を壊すかもしれない恐怖と闘って、想いを告げたのだから。



