海色の世界を、君のとなりで。


「私、本気で栞ちゃんが好きなんです。星野くんよりも好きです」


「んなわけねえだろ。俺があいつのこと、何年間好きだと思ってんだ」



ふっと笑みをこぼし、ゴールに向かって一直線に走っていく彼女は、随分と綺麗になったフォームでレイアップを放った。



……スパッ。



微かな音を立てて、ゴールネットが揺れる。



────()れやがった。


生まれた焦りと不安で苛立ちが募る。



負けるわけにはいかない。


俺はただまっすぐ、ゴールを見つめてボールを放つだけだ。


どんなに遠くても、難しい状況でも、打たなければ入らない。


スリーポイントラインに足を揃えて、す、と息を吸い込む。



一球に思いを込めて────放て。



指先を離れたボールは、リングにまっすぐに吸い込まれていった。