「……怖いんです。気持ち悪い、って思われるんじゃないかって。やっぱり"普通"じゃないから、この気持ちがバレたら、そばにいられなくなるんじゃないかって」
そう思うのも当然だ。
周りと違う、一般論と違う、普通じゃない。
人は周りより優れたいと願いながら、目立たないように社会に溶け込む生き物だ。
何の根拠もない"普通"を目指して努力する生き物だからこそ、違いを主張するのには勇気がいるし、拒絶された時の無力感は大きい。
「あいつは、そんなやつじゃねえよ」
けれど小鞠と俺が好きになった成瀬栞という存在は、きっとそんなものをなんなく受け入れるのだろう。
それだけははっきりと思うことができた。



