海色の世界を、君のとなりで。


「ど、どうして気付いたんですか?」


「普通にしてりゃ分かるだろ。お前の目、すげー怖えし」



俺が栞に話しかけた時の彼女の形相はまるで鬼だ。


割と可愛い顔をしているというのに、栞が絡むと般若が出てくる。



「そんなに分かりやすいですかね、私」


「ああ」



がっくりと肩を落とす彼女の顔があまりにもへこんでいるように見えたので「まあ、あいつにはバレてねえと思うけどな」と付け足しておいた。



それから栞のいないところでちょくちょく話すようになった。


話は全て栞のことばっかりだったけれど、少し構うだけで赤くなったり青くなったりする彼女が確かに"学年一モテる"と謳われるのにも納得できた。


一緒にいて飽きないのだ。


なかなかの強敵だぞ、と自分自身に語りかける。


おそらく彼女は俺が栞のことを好きだと気付いている。


ものすごくライバル視されているのが、日常生活の中で嫌でも感じられるからだ。