「とにかく子供を見るたびに顔を綻ばせるような女性だった。だから、君を助けられて嬉しく思っているだろう。君が負い目を感じることは何もないよ、小鞠さん」
お父さんは震える可奈を見つめたまま続ける。
「後悔はしていないと思う。そういう女性だ、凪海は。そんな彼女だから、俺は好きになったんだ」
可奈の視線とお父さんの視線が絡み合う。
お父さんの瞳に怒りの色はまったくなかった。
「……君が生きていてくれるだけで嬉しい。凪海は君を守ることができた。それは彼女にとって本望だと思う。本当にありがとう」
呟いたお父さんは、ゆっくりとリビングに戻っていった。
「私には……お礼を言われる、資格なんて」
へなへなと脱力する可奈は、細い息を吐いて、それから一粒の涙を零した。
「可奈……外に、出よう」
ブレスレットにそっと触れて、可奈を促す。
静かに頷いた可奈はよろよろと立ち上がり、涙に濡れた顔のままわたしを追うように外に出た。



