ドボン。
そんな音がしたときには、身体を海水が包み込んでいた。
口の中に水が入ってきて、ボコボコと泡だけが海面にのぼっていく。
あれだけ海の近くには行くなと言われていたのに、どうして近づいたりしたのだろう。
そんな後悔はあとからあとから生まれてくるもので。
助けて。
そんなこと、思ってはいけない。
これは自業自得なのだから。
そう分かっていても、無意識に手は救いを求めて。
遠くなってゆく水面は光を受けて、泣きたくなるほどに綺麗だった。
ドボンッと二度目の音がしたとき。
強い力で引かれて、一瞬顔が空気に触れた。
勢いよく酸素を吸い込んだその瞬間、私の腕を掴んでくれた女性の顔が視界に映る。
若い女性だった。
私のお母さんと同じ歳くらいの、綺麗な女の人。



